後半44分。
J'sゴールの時計が10分以上進まない。
いやな予感がした。
東京のオフィシャルにアクセスしてもいっこうに繋がらない。
「ジャーンが泣いてる」
J'sゴールのサポーターズvoiceに文字が流れた。
その瞬間、オレは何を祈ったのだろう。
ナビスコ決勝戦の姿が脳裏をよぎったが、今日はリーグ戦だ。
この試合で優勝が決まるわけでもなく、降格が決まるわけでもない。
じゃあなぜ?この不安を誰か消し去ってくれ。
気がつけばJ'sゴールの表示は試合終了を告げていた。
嫌いな巨大掲示板を開いて、ルーカスが負傷したらしいことを知る。
得られた情報と引き換えに、心ない人間の闇がオレを襲う。
スタジアムにいる仲間にメールを送った。
ようやく涙の意味が分かった。
もう一度、オレは祈った。今度は明確な、祈りだった。