勝負ってそもそも残酷なものだと思う。
それがダービーなら尚更だ。
後半44分の時点で、試合が終わっていれば、引き分けだった。
引き分けなら、痛みをお互いに分け合える。
後半、GK高木がピッチにボールが2つ入っているのを知っていて、わざとボールを出さなかった。
意味のない時間稼ぎとしか思えなかった。
「何やってんだよ、高木!」
オレは思わず、相手GKに向かって叫んでしまった。
だって1-1の状況でそんな時間稼ぎをして何になる?
だからという訳ではないが、ロスタイムは2分与えられた。
そのロスタイムで、ササがゴールを決めることになる。
高木としては、ただ単に、間を嫌っただけかも知れない。
しかし、1-1のまま時間が過ぎることを願ったのならば、残酷な結果を招いただけだ。
そういう気分は、確実にピッチ上の仲間に伝播する。
攻めるか、死ぬか。
東京は、最後まで全員が攻めた。
結果は、ベルディにとって残酷なものとなった。
しかしそれは、転じれば自分たちに降り掛かったものでもある。
それは日常では味わえないヒリヒリとした感覚。
この残酷なダービーを、絶対、来年も味わいたい。
例えそれが、心を握りつぶされるような悔しさであろうと。