2006年 03月 30日
ピッチを叩いて悔しがる。それを見て僕は思う。
Jリーグ第5節、京都戦。
それは、ノブオさん(仲間うちではすっかりこの呼び名だ)が東京に移籍後、初先発となった試合だった。

ベテランと言われる年齢。減っていく出場時間。
中山という大きな存在と、カレンという次世代のFWに挟まれていた男は、
7年という年月を過ごしたジュビロから、東京にやって来た。

その男が、移籍して5試合目にして先発の座をつかんだ。
開幕前、いったい誰が彼の先発を予想しただろう?
ブラジル人ストライカーや、パラグアイ代表FW、東京の11番を背負う男…
さらには大学・高校きってのFWが加入したこのチームに、彼の居場所などあったのだろうか?
せいぜい、若いFWをまとめるベテランとしての役目ぐらいではなかったか?
GKには土肥、DFには藤山、MFには文丈や浅利がいる。
「いざという時に若手を引っぱれるベテランがFWにも必要だろう」。
強化部の人間がそう考えていたかは知らないが、ファンとしてはそれぐらいのイメージだった。

しかし、それは違った。
動き出しのタイミング、プルアウェイやウェーブの動き…
「オフ・ザ・ボールの動き」の質の高さは、途中交代で出場した開幕戦から明らかだった。
それが、高校、大学、ジュビロと経験を積んできた男のプレーだった。


1対1で迎えた後半。
東京の20番は、右サイドに流れたボールを必死に追いかける。
しかし無情にもボールはサイドラインを割った。
ピッチを叩いて悔しがる。
まるでシュートを外したかのような悔しがり方だった。

それを見て僕は、思わず応援の手を止める。言葉に詰まる。
溢れそうになる涙をこらえ、やっとの思いで「ノブオ!」と叫んだ。
それは彼に向けた言葉ではない。ピッチに立つ仲間全員にだ。
「なあお前たち、今のプレーを見たか?ノブオの気持ちを受け取ったか?」
そういう気持ちで叫んでいた。

思いは伝播する。

89分、徳永のシュートが、ゴールに吸い込まれた。
勝利への強い思いが生んだゴールだった。
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by tokyo-boys12 | 2006-03-30 20:18 | FC東京


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