2006年 08月 11日
意味のない試合。
b0015993_2162553.jpg先日、日本代表がトリニダード・トバゴと親善試合を行ったが
僕は以前、トリニダード・トバゴの試合を見ている。
それは、ドイツワールドカップだった。

しかし観戦の目的は、彼らではなかった。
ササである。
そう、そのカードは、パラグアイvsトリニダード・トバゴ。
しかし承知の通り、ササは召集されず、
グループリーグの展開も、パラグアイの敗退が決定しており、
はるばるドイツまで来て「なんだかなあ」という状況だった。
「この試合を見る意味があるのか」、そんな思いが頭をかすめた。

しかし思いとは裏腹に、好ゲームが展開される。
それはトリニダード・トバゴというチームの存在が大きかった。

彼らは、ワールドカップ初出場だった。
この試合に勝てばグループリーグ突破の望みがあり
まるで日本が初出場だったフランス大会のように、
スタジアムはトリニダード・トバゴのサポーターでうめ尽くされていた。

僕の隣には、一人で母国を応援するトリニダード・トバゴの青年が座っていた。
肌は褐色で、メガネをかけた、真面目そうな青年だった。
母国の旗をスタンドに掛け、今から始まるリーグ突破をかけた戦いに、胸を膨らませている。
すべり落ちそうになった国旗を僕が押さえてやると、「サンキュー」と英語が返ってきた。
僕は彼を見て、なんとなく彼を気に入った。
もしかしたらその時からこの国を応援しようと思っていたのかも知れない。

初出場のこの国は、南米の強豪に勇敢に立ち向かった。
シドニーFCでカズとチームメイトだったヨークが、攻守に走り回る。
しかし前半、不運なオウンゴールで先制されてしまう。
後半、国の英雄、38歳の大ベテラン、ラタピーが投入されると、
スタジアムはラタピーコールで包まれた。
彼が攻撃陣を牽引して、トリニダード・トバゴは総攻撃体制に入った。
パラグアイのディフェンス陣に、何度も何度も跳ね返されながらも、攻撃の手を緩めない。

僕はこの時すでに、トリニダード・トバゴのサポーターになっていた。
地球の裏側から来た隣の青年とともにシュートの度に立ち上がり、チャンスが潰れる度にため息を吐く。

しかし、最後はカウンターで1点を追加されてしまった。
万事休す。彼らの挑戦は終わった。
イングランド、スウェーデン、パラグアイという強豪相手に善戦するも
1分け2敗、無得点という結果で大会を去ることになった。

ふと、隣を見ると、青年ががっくりと肩を落とし座席に座り込んでいるのが目に入った。
その落ち込み様に、僕は声をかけようか迷う。

でも何も言う必要はなかった。

僕は彼の肩を叩き、握手を求める。
彼は今できる精一杯の笑みで、僕の手を握り返してくれた。

試合を見る意味なんて考えてた自分が、ばからしく、思えた。



トリニダード・トバゴの英雄、ラタピー。
実は選手交代のアナウンスがあるまで、ずっと「ガチャピン」だと思ってた…。
んなわけないよね、ゴメンネ、トリニダード・トバゴのみなさん。
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by tokyo-boys12 | 2006-08-11 21:13 | FC東京


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