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2006年 11月 04日
延長PKの楽しみと、増嶋竜也。
3年前の12月。天皇杯3回戦、横浜Fマリノスvs市立船橋。
それは、Jリーグチャンピオンと、高校王者の戦いだった。

冬の日差しは意外に暖かく、三ツ沢のメインスタンドでビールを飲んだ記憶がある。
売り子さんに「どちらの応援ですか?」と聞かれ、「イチフナです」と答えると、
「楽しみですよね」と笑顔が返ってきた。

そのイチフナでCB、キャプテンだったのが増嶋だった。



試合は開始6分でマリノスが2点をあげ、勝負はJリーグ王者があと何点とるか、
市船は1ゴールでもあげられるか、そんなゆるい雰囲気になっていった。

しかし市船は前半を0-2で耐え抜く。

ハーフタイム、ベンチは活気づいていた。
自分の座っていた席がちょうど市船のベンチの真上で、
ベンチからは「オレたちはやれる」というような声が聞こえてきていた。
負けるなんてこれっぽっちも思っていない高校生を見て、
こんなチームのキャプテンが東京にやってくるのかと、鳥肌が立ったことを覚えている。

そして。
反撃の口火を切ったのは、その増嶋だった。
FKのこぼれ球を、豪快に蹴り込んだのだ。
そのゴールの豪快さに、「今のFW誰だ?」と確認しようとしたところ、
歓喜の輪の中心に見えたのは、背番号5のDFだった。

その後、市船はマリノスの攻撃に耐えながら、後半39分、まさかの同点に追いつく。
勢いに乗ってさらに攻撃をしかける市船。

しかし後半44分。
市船に退場者が出てしまう。増嶋だった。
1得点をあげた上、マリノスの攻撃陣を相手に、
高校生が2点に抑えただけでも上出来だった。
後半終了の笛を、増嶋はベンチで聞くことになった。

J1相手に10人で延長を戦う。しかしスコアは2-2。
この状況を明らかに高校生たちは楽しんでいた。
「ひっくりかえそーぜ!」
延長戦開始前、彼らは円陣を組んで、ピッチに駆けていった。

延長は彼らにとって、まさに死闘だった。
高校生相手になりふり構わず攻める横浜に対し、テクニックも体格でも劣る市船は、
1歩でも相手より走ること、跳ぶことでしのいできたが、限界がきていた。
1プレーごとに選手が足をつり、その場に倒れ込む。

すべての力を出し尽くした彼らは、延長戦を戦い抜いた後、PK戦1-4で敗れ去った。
1試合で勝負が決まるトーナメントだからこその延長戦の醍醐味と、
底辺から勝ち抜いてきた者と、J1が対戦する天皇杯ならではの楽しみが凝縮した戦いだった。

あれから3年。
増嶋がプロとして2度目の天皇杯のピッチに立つ。
今度は挑戦者ではなく、J1のプレイヤーとして。


明日のバンディオンセ神戸戦。
1試合で勝敗が決まる天皇杯は、通常のリーグ戦とは違う緊張感や楽しみがある。
そして増嶋をはじめ、シオやアベちゃんら、リーグ戦になかなか出場できない選手たちが
どんなプレーを見せるのかも、楽しみだ。

by tokyo-boys12 | 2006-11-04 15:09 | FC東京


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