長いホイッスルの音と同時に、天を仰いだ。
スタジアムの屋根に円く切り取られた空は、
いくらかき混ぜても溶けない何かが残っているような、鈍い鼠色をしていた。
東京の空は、こんなにも汚かったのか?
池上のクリアと、塩田のPK阻止がなければ0-4という試合。
指揮官は試合終了後「かなり良くなかった」と唇を噛んだ。
こんな空を見ていたら、あの歌を思い出した。
At the end of the storm there's a golden sky
(嵐が過ぎ去れば、輝くような青空が待っている)
しかし、現実は甘くない。
そもそもこの歌は、甘えの歌ではない。
男たちが慰めあい、寄り添いあう歌でもない。
「嵐を恐れるな、闇を恐れるな」という歌だ。
FWが走らないなら、なぜ「走れ」と言わない?
そこでフリーなら、なぜ「ここに出せ」と言わない?
今、恐れる闇とは敵ではない。自分たちの中にある何かだ。
それに気がつき、彼らがそれに立ち向かったなら僕は歌う。
風の中を歩いていこう。
雨の中を歩いていこう。
お前たちは、一人じゃないから。