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2007年 11月 27日
届いたろうか。
届いたろうか。_b0015993_049223.jpgホーム最終戦前日、決めていたことがあった。
それは、ドイツに持って行った
土肥ちゃんのゲーフラを上げることだ。
その日フットサルが終わって帰宅したら、
ちゃんとそのゲーフラが用意されてあった。
あたりまえじゃない、とでも言いたげに
バッグの上に、キレイにたたんで置いてあった。


試合当日。
GKがピッチに入ってきた時、土肥ちゃんがそこにはいないと分かっていながら
シオに向かってゲーフラを上げた。少しでも高く、少しでもちゃんと見えるように。
彼らの練習が落ち着いたところで、彼女がいつものように
「ファンクラブテントに行く」と言うので、ついていくことにした。
「若い選手はいるかもしれないけど、まさか土肥ちゃんはいないでしょ」
と言われて自分もそう思ったけど、何だろう、すでにその手にはゲーフラを握っていた。

コンコースに出ると、タンブラー売り場に選手の姿はなく
「選手はもういませーん」というボランティアの声が響いていた。

まもなく進むと、ファンクラブテントが見えてくる。
その入り口は、いつもより人で溢れていて、行列ができていた。
「誰か選手がいるのかもね」
彼女が振り向いて声をかける。
胸が高鳴る。そんなことがあるのかと。
ひょっとしたら僕は、涙を浮かべていたかもしれない。

やがて人の流れに沿って進むと、そこにはあの屈強なGKがイスに座り
子供たちと握手をしている姿があった。

鬼のような形相でモニを叱り飛ばす姿。
ナビスコ決勝、PKを止めて吼える姿。
バックパスをミスキックして、何もなかったかのようなに振る舞う姿。
そしてクロアチア戦、キーパーグローブを着けずにピッチへ出てきた姿。

そのどれでもない土肥ちゃんが向こうに見えて 、僕は人垣の後ろからゲーフラをあげた。
近くにいたスタッフが気づいてくれて、「ほら、あれ」と指をさす。
すると彼はこっちを向いて、軽く頭を下げ、照れくさそうに、でも優しく微笑んだ。
僕はというと、言葉もなくて、スタッフと土肥ちゃんに、
同じように頭を下げ、同じく照れくさそうに笑っただけだった。
何も話すことはできなかったけど、それだけで、充分だった。

シオが背番号1のユニを着ていたと知ったのは、
ファンクラブテントから席に戻ってきた後だ。

できる限りゲーフラを上げていよう、そう思った。
選手紹介の時も。ユルネバの時も。そして、試合が終わった時も。
東京を支え続けてくれたGKに届くように。
これから東京を支えてくれるであろうGKに届くように。
そして、スタジアム全体に届くように。

by tokyo-boys12 | 2007-11-27 01:09 | FC東京


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